木材構造学がご専門の杉山英男氏、この日本木材保存協会の40年ほど前の”木材保存”という論文集に寄稿されていた小論が大いに勉強になり、考えることの大事さを教えて頂いたようだ。
全く見ず知らずの、研究者の杉山氏の論文を何度も何度も読み、ウッドデッキの耐久化処理や施工時の構造への配慮へのモチベーションが、強く湧いた。
左ページの赤色マーカー部分では、”昨今の日本人は怠け者になり、木材を磨いたり、木材を腐らせないようメインテナンスしたりすることを忘れてしまってる”と嘆かれている。
右の同マーカー部分には、”雨仕舞、水仕舞を忘れた建築工法も最近流行している”と来て、
”北米の雨の少ない地域で行われている軒無し屋根の流行などはその好例”と。
重要な考え方として
(防腐剤やペンキはポジティブな防腐措置、建築の工法や木材樹種の選択はパッシブな防腐措置である。両者は車の両輪に例えられるべきでどちらを欠いても建築における防腐を全うすることはできない。)
と論じられているが、ここが自分の考え方を善導してくださった言葉だった。
ここなどは、木材文化の日本、木の国日本、などといかにも木材建築の総本山のように言われることのある日本が、いかに木材研究の蓄積が少ないか?と科学者として、鋭い指摘をされている。
一文一文をじっくり読み進めると、外部使用の木材についての考慮点・どこに重点を置けばいいのか?というヒントを教えてくださっている。
すでに、鬼籍に入られている杉山英雄氏の小論は、実はすごい迫力を持って、木材研究へのご意見を述べておられることに、読めば読むほど気が付きます。
もう40年近く経過していようが、技術は進んでも、基礎的な考慮点は変わらないのだと思うのです。
コメント